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『北斗の拳』の物語を三十一篇に裁断しました

北斗三十一篇

2005/09/02 初版公開
2005/12/13 加筆修正
2006/09/03 加筆修正

『北斗の拳』はどう区分されているか?

 『北斗の拳』は二百四十五話にも及ぶ長篇だが、話が前後するような箇所はあまりなく、すっきりと読み易い作品である。然しそれでも引用して論じるにしては物語が長すぎ、ある程度短く区分しておかないと何かと不便だ。
 『北斗の拳』の区分には幾つか方法があるが、最も一般的なのは拳王様の御帰天より前を第一部、御帰天より後を第二部とするやり方であろう。原作にそのような区分を示す記述があるわけではないが、アニメ版では拳王様の御帰天を以て一端最終回とし、以降を『北斗の拳2』と改題していた為博く受け入れられている方法である。世間で普通に話すにはこれが用い易い。だがこの区分方法は少々使い憎い。というのも、拳王様御帰天以前のアニメ版『北斗の拳』は長篇である為か「第一部」「第二部風雲龍虎編」「第三部乱世覇道編」「第四部最終章」と区分されている。従って単に「第二部」と表現すると、拳王様御帰天以降か、それとも「風雲龍虎編」か解り憎い。一般に『北斗の拳2』を第五部ということもないので解り憎く、またそういうのであれば帝都と修羅の国の段を分けた方が伝え易い。然もカイオウ死後がアニメ化されていない。アニメ版の区分に依拠すると、どうしてもサヴァ王国やリュウのことを論じ憎い。アニメ版の区分には従うべきではなかろう。アニメ版の区分を考えないにしても『北斗の拳』は長篇である。前後二篇では区分が大きすぎる。もっと細かい区分を考えねばなるまい。
 単行本、愛蔵版、もしくは文庫版の巻数で区分する方法も考えられるが、これはこれで使い憎い。単行本にしろ、愛蔵版、文庫版にしろ、きちんと一巻一巻で一つの話が落着せず、多くの場合跨っているからだ。特に単行本十六巻はラオウ様御帰天の逸話を含んでいるが、其処で終らない。即次の話に続く。もっと簡単な話、アミバが何巻で死ぬか即答出来る人が幾人程いるだろうか。そうそう居まい。そういう区分では使い憎かろう。
 色々考えてみたが、結局『北斗の拳』は様々なメディアで版を重ねているものの、どれも巧く区分出来ているとは云えない。既存の方法ではどれも使い憎い。故に自分で方法を考えた。

『北斗の拳』を三十一に分割してみた

 区分方法の考案は實に難しい作業であった。はじめケンシロウの敵を単位として区切ったが、拳王様御出馬以降はよく敵が重複し、特に修羅の国で巧くいかなかった。次いでケンシロウが強敵を得た箇所を境目とすることも考えたが、そうするとシュウとサウザー、ラオウ様とトキの箇所で混乱が生じる。どの程度の例外を認めるか考えたが、例外が餘りに多く出来てしもうた為、この案も棄てた。
 こうして様々な方法を試した結果、最も坐りよく落着いたのが下記の三十一区分である。

01.心の叫び篇 :第001話 心の叫び!の巻
02.ミスミ篇 :第002話 怒り天を衝く時の巻 〜第003話 秘拳!残悔拳の巻
03.KING篇 :第004話 KINGの逆襲の巻 〜第010話 巨星堕つ時の巻
04.GOLAN篇 :第011話 オアシスでの出会い!の巻 〜第016話 野望を断つ涙!の巻
05.ジャッカル篇 :第017話 故郷からの使者の巻 〜第025話 死神は欺けないの巻
06.牙一族篇 :第026話 南斗の男!の巻 〜第037話 死のタイムリミットの巻
07.ジャギ篇 :第038話 凶悪なるまなざし!の巻 〜第044話 怒拳四連弾!!の巻
08.堕ちた天使篇 :第045話 乱を呼ぶ星の巻 〜第051話 悲しき天才!の巻
09.カサンドラ篇 :第052話 飢えた荒野!の巻 〜第060話 北斗有情拳!の巻
10.拳王様御出馬篇 :第061話 失われた北斗の男の巻 〜第072話 永遠の死闘!の巻
11.裏切りのユダ篇 :第073話 暴虐!狗法眼!!の巻 〜第082話 永遠の別れ!の巻
12.聖帝サウザー篇 :第083話 狂乱の南斗!の巻 〜第097話 愛深きゆえに堕つ!の巻
13.宿命の兄弟篇 :第098話 拳王は死なず!の巻 〜第104話 絆熱く哀しく!の巻
14.天翔る天狼篇 :第105話 わが星は天狼の星!の巻 〜第109話 天帝よりの使者!の巻
15.南斗最後の將篇 :第110話 南斗ついに起つ!!の巻 〜第120話 流れ去る雲よ! の巻
16.ユリア争奪篇 :第121話 いざ将の下へ! の巻 〜第130話 肉体を越える魂!の巻
17.拳王様御帰天篇 :第131話 心を血に染めて!の巻 〜第136話 さらば強敵よ!の巻
18.新伝説創造篇 :第137話 若き狼の叫び!の巻 〜第139話 生きてふたたび!の巻
19.賞金稼ぎアイン篇:第140話 驚異のアイン!の巻 〜第144話 あえて賞金首に!の巻
20.金色のファルコ篇:第145話 金色のファルコ!の巻 〜第159話 武人の涙!!の巻
21.修羅の国入国篇 :第160話 永遠なる父の魂!!の巻 〜第164話 誇りとともに!の巻
22.シャチ野望篇 :第165話 死を食うヤツら!!の巻 〜第170話 白熱せる野望!の巻
23.第三の羅将ハン篇:第171話 君臨せる魔拳!の巻 〜第177話 燃えさかる宿命!の巻
24.ジュウケイ無残篇:第178話 ボロ蜂起す!!の巻 〜第185話 ジュウケイ無残!の巻
25.魔神ヒョウ篇 :第186話 無情の再会!の巻 〜第196話 悪の妄獣!!の巻
26.女神の涙篇 :第197話 リン無情!!の巻 〜第199話 優しき腕の中で!の巻
27.修羅の国決着篇 :第200話 眠れる愛!の巻 〜第210話 さらば愛しき者たちよ!の巻
28.狼は死なず篇 :第211話 新しき希望!の巻 〜第217話 ドブネズミの如く!の巻
29.サヴァ王国篇 :第218話 サヴァの王女!の巻 〜第227話 大いなる死よ!の巻
30.光帝バラン篇 :第228話 狂信者たち!の巻 〜第236話 死すために男は…の巻
31.ケンシロウ追憶篇:第237話 愛すれど遠く…の巻 〜第245話 さらば愛しき者たちよ
…そして荒野へ…の巻

 この三十一区分は「ケンシロウの中程度の旅の達成」を目安とし、およそ「子どもの寝物語として口述出来る程度の長さ」で仕切っている。これは原哲夫が『森の戦士ボノロン』をはじめたことで思いついた方法である。

中程度の旅?

 物語は"何かが足りない""何かを失う""何かを奪われる""何かがないことに気付く"といった「缺落」を補填しようとする様を語るものである。故に「缺落」と「缺落の回復」の対が物語を区切る一単位となる*1。『北斗の拳』の基本的な「缺落」はユリアだ。ケンシロウがユリアをどう「回復」するかで区切ると、『北斗の拳』は前後二篇になっている。前篇は第一話の一年前にユリアをシンに奪われ長旅を経て漸くラオウ様と戦いユリアを取り戻す迄で、後篇は数年後ケンシロウが再びユリアを失い最後晴天に浮ぶユリアの笑顔を得て終る迄である。アニメ版に由来する前後二篇の区分と同じ箇所で区切ることになる。
 この二度の「缺落」と「回復」は下位に七つの「缺落」と「回復」を含んでいる。第一話からマミヤの村に落着く迄のケンシロウが無目的に放浪する第一期、ジャギが登場しレイが帰天する迄の北斗神拳の伝承者争いにまつわる第二期、サウザーが登場しラオウ様が御帰天する迄の第三期、ケンシロウが北斗の軍に与して帝都を落す迄の第四期、渡海し修羅の国を救う迄の第五期、帰国しリュウを連れて旅する第六期、そして最後の第七期である。この区分はケンシロウの旅の形態を基準にしている。
 この七区分中でケンシロウは旅の目的を達成する為に幾つか手順を踏む。例えば第二期、ケンシロウは北斗神拳の伝承者争いを片づける為に先ずジャギを訪ねる。そしてジャギを斃すが、それだけではこの旅は終らない。だから次にトキを訪ねた。然しこのトキは偽物だったので、本物を求めてカサンドラに辿り着く。此処で本物のトキに会うて、ラオウ様と再会、対決する。だが引分けて、レイを失うた。一つの目的を達する為に目的が次々と生じているわけだ。従ってこれも区分の境目がある。分けるとジャギ篇、アミバ篇、カサンドラ篇、ラオウ様篇、ユダ篇の五篇となる。これを「中程度の旅」としてまとめると上記の三十一篇になった。分けようによって十六篇、二十六篇、二十八篇、三十六篇などの案もあったのだが、最も例外が少い三十一篇を採用した。

『北斗の拳』は三十一篇ということで

 以降北斗学では原作の引用を上記の三十一篇で示すこととする。但しアニメ版は一応五部構成(第一部〜四部+『北斗の拳2』)になっているのでそれに基づいて示し、三十一篇の区分は適用しない。三十一篇は飽くまで原作の引用の為に作った方便である。原作の引用のみのことだ。

補註

*1 一単位
 アメリカの民俗学者アラン・ダンデスの著作を参考にした。
[北斗学]
あらら、これ読むの?
辛抱いいのねぇ