三十一篇全比較
07.ジャギ篇
07.ジャギ篇 038-044話(全07話)
| 序 #039:16 |
破 #041:09 |
急 #043:05 |
| 起 #038:20 |
承 #040:14 |
転 #042:09 |
結 #044:03 |
序:ケンシロウ到着
破:ジャギとの因縁
急:ケンシロウ圧倒
この篇の序破急は全くケンシロウが頗る恰好良い三枚だ。逆に云えばジャギがどれだけケンシロウに劣るかだけを描いていると云える。この篇の柱はケンシロウに対してジャギが抱くコンプレックス、ケンシロウに決して勝てないジャギである。
起:偽"七つの傷の男"
承:兄より優れた弟
転:北斗神拳の掟
結:切札南斗聖拳
逆に起承転結の山場は四枚とも見事にジャギの見せ場である。ジャギの魅力が詰っている。
#038:20はジャギがケンシロウの名を騙り悪事を働いていること、レイが追っていたアイリを攫った「七つの傷の男」がケンシロウでないことが一目でわかる素晴らしい一枚だ。この七つの傷を見た相手の恐怖、それがこの世界で何を意味するかなどを象徴的に描いている。
#040:14はジャギが如何なることで怒る人かを描き出した一枚。ケンシロウに些かでも似た者あれば殺して歩くという非道を働くジャギではあるが、アキの目が弟に似ていると思いながらも何故か一旦見逃す。この描写故に儂はジャギを憎み切れぬ。如何にジャギでも子どもは殺せぬか、良心が塵ほどにでも残っていたか、などと考えてしまう。処がマコにいちゃんがうっかりジャギの部下に無礼を働き、ジャギの部下はマコを脅し、アキが庇う。この時のジャギの「ピク」が利いている。この「ピク」こそがジャギだ。ジャギの人柄を全て現している。直後、ジジイがアキを庇う為にまろび出て、「ほんとうに/ほんとうに/よくできた/弟なんです!!」と喚く。これでジャギのコンプレックスが爆発、憐れアキは足枷で縛られ沙漠に捨てられた。
#042:09は伝承者がケンシロウに決り、ラオウ様とトキに不満をぶちまけるジャギを描いた一枚。このジャギも如何にもジャギだ。この一枚でジャギは全てを語っている。
一番下の未熟者に伝承者の座を奪われて口惜しい、伝承者争いに破れて拳を潰されたり記憶を奪われたりするのは厭だ、というこの二点でジャギは生きている。幾ら何でも其処まで…と思うが、こんな人格破綻をきたす程、ジャギにとって北斗神拳の修行は厳しかったのであろう。リュウケンも酷い鍛錬を科したものだ。またそういうことを喚くことが出来るという正直な性格、これはこれでなかなか可愛い。真っ向正直故に真っ向正直に性格がねじ曲っている。真っ直ぐ曲がる、真っ直ぐ歪むとは矛楯だが、ジャギ程真っ直ぐ歪んだ男を儂は他に知らない。
#044:03はジャギが切札が南斗聖拳であると確認出来た初めての描写である。この見せ方も巧い。先に謎の攻撃でケンシロウの眉間を裂いてのこれだ。南斗聖拳は決してジャギのキャラクタを補強する役には立っていないが、ジャギの描写を全て終えたあとの最後の山場としてはこれで充分である。因みにジャギに南斗聖拳を教えたのはシンであるという説があるが、儂はどうもシンがジャギに南斗聖拳を教えたようには思えぬ。先にシンの話が出ているのに「お前が知る必要はない」は不自然だろう。儂はユダだと思う。というのも、ユダはレイを怨み、ジャギはアイリを攫っている。ユダは「知略の星」を自称する男だ。レイを苦しめる為同じ拳王軍に属するジャギと通じてアイリを奪うたのではなかろうか。ジャギも「シンの南斗聖拳」などと云わず「お前が知る必要はない」と含みを持たせているから、ユダでないとしてもケンシロウでは窺い知れぬ間柄の者から教わったに違いない。まぁ、「お前が知る必要はない」が伏線になっているのかと思いきや、未消化のまま連載が終ったので、真相は藪の中、武論尊がどういう予定だったのか我々には知り得ぬのだが。
| <<06.牙一族篇 | <07.ジャギ篇> | 08.堕ちた天使篇>> |