こんな怖いスポーツしたくないよぉ…

北斗の拳 蒼天の拳 DFS 北斗の庭園
JUNP SUPER COMICS 鉄のドンキホーテ 全二巻


JUNP SUPER COMICS 鉄のドンキホーテ 全二巻

鉄のドンキホーテ [1] もくじ

 赤い軍団への挑戦状!の巻
 戦士の殺人走法!!の巻
 城乃麗華の誘いの巻
マッドファイター

鉄のドンキホーテ [2] もくじ

 日本MXグランプリ開幕の巻
 第1ヒートスタート!の巻
 めざせ、栄光のゴールを!!の巻
北斗の拳
北斗の拳II

私的評価:★★★★★★☆ 6

続き

 原御大の連載デビュー作。モトクロス国際B級三戦連続優勝を果した黒須元が日本モトクロス界に君臨する王者"赤い軍団"に挑戦状を叩付け、最強戦士五十嵐俊一と死闘を繰り広げるというお話であるが、堀江御大に奨められてモトクロスを題材にしてみたものの、どうも原御大はモトクロスを真に好きにはなれなかったそうで、気が乗らなかったらしい。
続き
 少年ジャンプには読者の人気投票で連載継続打切りを決める所謂"ジャンプシステム"という制度があるが、この『鉄のドンキホーテ』も多くの新人連載作品がそうであったように多くの票を得られず早期に打切りが決定したそうだ。一巻だけを読んでみると成程さもありなん、という感じで正直面白くない。然し打切りが決定した後の展開がどういう工合か結構盛上がって面白く、さもあろう、後半は読者の票が伸びたそうだ。この結果を手掛りに堀江御大は次なる道を模索して『北斗の拳』連載に漕ぎ着けたそう。
 この頃の原御大の絵は明らかに池上遼一と小山ゆうの影響がある。主人公黒須元の顔は『がんばれ元気』の堀口元気に似て凛々しくはあるが童顔、好敵手五十嵐俊一とヒロイン城乃麗華の掛合いは初期の『男大空』を思わせる。然しだからというて原御大独自の表現がないかというとそうではなくて、堀江御大は新人だった原御大を「痛そうに描くねぇ」と誉めたそうだが、その「痛そう」な表現は既に本作で顕れており、また一巻三十五頁と三十八頁、二巻九十二頁と九十八九十九頁にあるような一枚絵や大齣の見栄が實に巧みで恰好良く、更に台詞回しも自然で巧い。原御大の美点が幾つもある。
 但し一巻五十八頁で「蛭田」と呼ばれていた男が八頁先で「山岡」と呼ばれているなんてのは御愛嬌だが、本来齣割が巧みである筈の原御大がどういうわけか本作では妙に解り憎い齣割を使うている。登場人物の位置関係や動作が判らない箇所が幾つもある。また、擬音が大きすぎて何を描いているのか解り憎い齣も多数ある。思うに原御大がモトクロスの挙動を脳内で巧く消化出来ていなかった為、何がどう動くか、何をどう描こうかを巧く処理出来なかったのだと思うが、この辺りの不出来は残念だ。

 然し我々北斗istにとって大事なのは、本作単行本に『マッドファイター』と『北斗の拳』『北斗の拳II』が載っていることであろう。
 『マッドファイター』は親友たけちゃんの片脚を切断させた武装した暴走族"烈怒"に太陽モータースのシンちゃんが「戦闘用に/改造した」ホンダCR500Mで復讐する、という話で、どうしてごく普通の若者に見えるシンちゃんがホンダCR500Mを「戦闘用に/改造し」ているのかは判らぬが、この武装暴走族"烈怒"が實にスペードの一味にそっくり、というか同じなのだ。
 『北斗の拳』『北斗の拳II』は前後に連なる一話完結の短篇で、恋人ユキを殺された北斗神拳"三十三代"伝承者霞拳四郎が暗殺組織"泰山寺拳法"と戦うという設定、この二篇は連載版『北斗の拳』と地続きの物語ではないが、短篇『北斗の拳』の冒頭にある「今をさかのぼること一八○○年前/中国は戦乱にあけるくれる三国志の時代」の文がおよそそのまま『蒼天の拳』の冒頭で使われていることで、北斗神拳の設定がこの時点でほぼ完全に固まっていたことが判る重要資料だ。然も漫画作品として可成りよく出来ていおり、今でも充分再読に堪える佳作である上、『北斗の拳』の剛田がアニメ版で「ゴーダ」として登場し同じ「北斗双龍波」で殺されていたり、『北斗の拳II』の金峰梅軒と拳四郎の闘いがアニメ版でそのまま大将軍バルコムとシンの対決に流用されたりしており、そのアレンジを愉しむことも出来る。北斗istを自認し自称するなら是非とも入手すべきであろう。

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