Joycardだけはいいパッドだったと思うよ

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週刊少年ジャンプ特別編集 北斗の拳SPECIAL '86 9月5日号 ALL ABOUT THE MAN

1986年に発売された『週刊少年ジャンプ特別編集 北斗の拳SPECIAL ALL ABOUT THE MAN』の紹介です。


週刊少年ジャンプ特別編集 北斗の拳SPECIAL '86 9月5日号 ALL ABOUT THE MAN

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北斗の拳SPECIAL ALL ABOUT THE MAN
-CONTENTS-

  • ウルトラヒーロー・スペシャルシール
  • 興奮一気!超ワイドポスター
  • 熱気爆烈スーパーイラスト大鑑 MAKING OF 超ワイドポスター
  • 激烈!! 悪党撃滅必殺特集
  • 武論尊ポートレート
  • 原哲夫ポートレート
  • 傑作トビラ完璧大全
  • メモリー・オブ「北斗の拳」
  • ケンシロウ・データバンク
  • 拳聖列伝
  • 世紀末わき役名鑑
  • 秘伝! 北斗神拳奥義書
  • 原哲夫グラフィー
  • 週刊少年ジャンプNo.36、37のおしらせ

私的評価:★★★★★★★★ 7 over!!

続き

 滅多に思わないが、ごく稀に「いい時代に育ったなぁ」と思うのは、この手の本が實によく、然も安価に売出され、購入出来たことだ。B4サイズのこの大判で、彩色あり、然も結構読ませるこの『週刊少年ジャンプ特別編集 北斗の拳SPECIAL ALL ABOUT THE MAN』が当時僅か390円で売っていたのだから驚くしかない。これがあるから『公式 北斗の拳vs蒼天の拳 OFFICIAL GUIDE BOOK』如きが819円+税もするのかと思うと腹が立つのだ。それくらい『週刊少年ジャンプ特別編集 北斗の拳SPECIAL ALL ABOUT THE MAN』は佳い本だ。稀に古本やオークションで見掛けると千五百円から三千円くらいの値がついているが、さもありなん、これはその値段に相応しいだけの内容を具えている。もし北斗istを自認しながらも本書をお持ちでないなら、2000年頃に原御大が香港に遊ばれた折、どういうわけか現地の北斗迷が多数本書を携えていたということだから、全てが海外に流出してしまわないうちに購入された方がよい。何より当時資料である。経年劣化して朽ちてしまう前に一読でもされるべきだ。

記事紹介 前半

 本書は拳王様御帰天に際して発行された記念誌である為、『北斗の拳』全体の内容を覆うようには出来ていないものの、当時資料であるが故に茶化す雰囲気がまるでなく、連載当時の熱気がそのまま封入されていて實に気持ちよい。『別冊宝島707 僕たちが好きな北斗の拳』の如き厭味がまるでない。『北斗の拳』に限らず矢張り資料というものは当時資料が好い。
 先づ迫力ある表紙を開き、裏表紙を見ると「ひでぶ!! 感激絶叫プレゼント これぞ最強!! おまえはもう圧倒的賞品のとりこ!!」と北斗ist垂涎の品々が並び、「北斗の拳 ファミリーコンピュータ用ゲームソフト 10名」「北斗の拳 SEGA MARK III用ゲームソフト 10名」「ケンシロウTシャツ 100名」「北斗の拳アニメセル 100名」「ケンシロウラッキーコイン 507名」を「幸運の星の下に生まれたキミたち総勢777名にあたる!!」という。儂はあたらなかった。
 そしてウルトラヒーロー・スペシャルシール。当時の『週刊少年ジャンプ』にはよくこの手のシールがついていた。お母様方には評判が悪かっただろうなぁ、と思う。うちの死ねばいい兄もこの手のシールが大好きで、何処にでも貼って色々な物を汚した。残念ながら本書のシールも一枚使われている。残念である。
 続いて月を背に鎧の大袖を肩に着けて構えるケンシロウの特大ポスターで、裏面は地球を背に半身に構えるケンシロウと大鎌を執って黒王号を駆る拳王様である。その後単行本の表紙などでお目に掛る美麗なイラストが美しい彩色で収録されている。余程印刷が佳いのか二十餘年を経た今も殆ど劣化していない。原御大は「フランク・フラゼッタの絵で漫画が読みたい」と願い、「フランク・フラゼッタが漫画を描かないなら自分で書こう」と漫画家を志し、「何れはフランク・フラゼッタのような画集を出そう」と夢見ておられたそうだが、その「画集」の夢が此処で多少なりとも叶えられている辺り、流石に堀江御大は漢編集者だなぁ、と思う。
 続くは定番の必殺技特輯、「激烈!! 悪党撃滅必殺大特集」と銘打って「殴り砕ける。それだけでは痛みを表現するには、まだ手温い。そこで秘孔突きにより死への時間差を演出することにした。(原哲夫)」とある。後年このアイディアを考えたのは堀江御大であることが明らかになったが、この頃は未だ裏方に徹して名を出していない。この辺りも實に男臭い。だって堀江御大の名が『北斗の拳』で初めて出るの、最終回のクレジットなんだぜ、格好良すぎるよ。
 「武論尊ポートレート」で武御大は「作りやすかったのは、ラオウですね。なんたって彼は、ストレートですから。ただただ前に進んでいくタイプは、作りやすいです。逆に作りにくいのは、主人公です。制約がありますから。」、もっと描きたかったキャラクタは「風のヒューイとかですね。五車星の死ぬキャラは、みんなもったいない。」、『北斗の拳』以外で原御大とやってみたい作品は「ありますよ。ふたつほどね。おたがいにいい所が、わかりあってきたし。」と仰有っている。武御大は原御大に比べインタビューに答える機会が多く、その内容は当時から餘り変っていないから、後年のインタビューでも資料としては充分なのだが、原御大とやってみたい作品が「ふたつほど」あるという行は気になる。「ふたつ」という数が妙に具体的ではないか。今も未だ果されていないが、この「ふたつ」が描かれることはあるのだろうか。もしかすると池上遼一か三浦建太郎と既にやっているかも知れぬが。
 「原哲夫ポートレート」で原御大はケンシロウ以外で好きなのは「シュウですね。彼の場合、今まで描いてきた二枚目から脱した感じですから。ストーリー的にも、よかったし。」、一番好きな拳法は「レイの拳(南斗水鳥拳)ですね。絵的にも、うまくいったし。」、アクションシーンについては「残酷にならないように気をつけてます。やっぱり見た人が、後味が悪いといやですから。スカット! スカット! だから、悪党とかは、化物みたいに描いてます。殺してるのは、人間じゃなくて、化物なんだ、といった感じで。」、『北斗の拳』以外で描いてみたいものは「ありますよ。戦争物とかね。ベトナムの。それから、時代物。これはテレビでやっているような物じゃなくて、黒沢の『乱』みたいなやつを。全部ケンシロウのようなキャラクターを使ってね。ケンシロウというキャラクターは、そういう事ができるキャラだと思うんですよね。ああ、あと『北斗の拳』よりも、近未来の話とか。」と仰有っている。「黒沢の『乱』みたいなやつ」は「ケンシロウのようなキャラクターを使って」描くことが出来た。『花の慶次 ―雲のかなたに―』『影武者徳川家康』『戦国群雄伝 ―SAKON―』である。堀江御大は『CYBERブルー』の後のネタを探す為に本を読み漁ったそうで、その中に『一夢庵風流記』があり、『花の慶次 ―雲のかなたに―』に繋がったそうだが、堀江御大はこの時のインタビューのことを憶えておられたのであろう。或いは常々原御大が仰有っていたのだろう。この辺りも漢漫画家だなぁ、と思う。但しベトナム戦争物は出来ていない。武御大が池上遼一とベトナム戦争に関わるものを描いているが、これがもしかすると武御大が仰有った「ふたつほど」のひとつだったかも知れない。因みに『花の慶次 ―雲のかなたに―』は現在隆盛するライトノベルに大きな影響をあたえた作品だという*1。このインタビューはライトノベル史というものがこの先まとめられることがあるならば、もしかすると重要かも知れない。
 「傑作トビラ完璧大全」は第何話が『週刊少年ジャンプの』何年何号に載ったかが判り易い資料であるとともに、原御大がお使いになっている画材の写真が掲載されており、『北斗の拳』の制作風景が透けて見えるファンには愉しい企画だ。『鉄のドンキホーテ』でパースとりに使った前輪がとれたバイクのプラモが当時の現場を偲ばせる。
 そして「メモリーオブ北斗の拳」と銘打って1983年『週刊少年ジャンプ』増刊4月号に掲載された読切版『北斗の拳』を収録しているが、それよりその余白にある「北斗の拳あたたQ&A」が北斗istにとっては重要である。これは…載せると拙いだろうか。えぇっと…怒られたら削除するということで、最早所持者しか見られない情報でもあるし、引用してしまおう。

北斗の拳あたたQ&A

Q.世紀末にはなぜモヒカン刈りの人が多いのですか?

A.暴力が正義という社会では、すべてが、より暴力的に演出されます。髪型ですら、より凶悪なデザインにすることで相手を威圧する効果を狙っているわけです。モヒカン刈りなどは、まだ常識的なヘアースタイルといっても、過言ではありません。

Q.北斗神拳の普通の技と奥義とは、どうちがうのですか?

A.北斗神拳と南斗六聖拳は、基礎には共通する部分を持っています。ただ、北斗神拳は、もともと暗殺拳であったため、一子相伝で門外不出の技が多く秘められています。その秘拳こそ奥義なのです。

Q.核戦争が199X年ということは、今、ケンシロウたちは、学生なのですか?

A.ケンシロウの年齢は、26〜30歳くらいの設定で描かれていますから設定の西暦を仮に2005年とすると、1986年現在では、7歳から11歳となります。

Q.リュウケンは、なぜジャギのような人間を養子にしたのですか?

A.強大を競いあわせるためには、ジャギのような毒を持った人物も必要だったのです。彼があのような破壊者になったのも、兄弟間の競争に敗れたからで、もともとは、拳法の才能豊かな人物だったのです。

Q.北斗の拳の登場人物たちの名は日本人なのにカタカナが多いのは、なぜですか?

A.未来の名前は、より記号化して人種的にもより混血化が進んでいるだろうという設定の元に無国籍で記号的な名前を使っているのです。

Q.泰山という名のつく拳法が多いようですか、これは何かの流派ですか?

A.その道の第一人者を示す泰斗という言葉があるように、中国では古来泰山と北斗七星は並び称され、尊重されてきました。その意味をふまえ、北斗神拳に対抗する拳法として、泰山流と名づけました。なお、泰山は中国山東省にある山で、天子が天を祭る場所といい伝えられる山です。

Q.南斗六聖拳を伝承する者はもういないのでしょうか?

A.南斗聖拳の拳法は、北斗神拳とちがい、一子相伝ではないので、ほかにも伝承している者はいます。

Q.南斗聖拳のシンは、108派すべての拳法が使えるのですか?

A.シンは、108派ある流派のうちのひとつの代表者ですが、複数の流派の拳法は修得しています。

Q.北斗神拳には、いくつの技があるのですか?

A.北斗神拳は、二千年の間伝承者という拳法の達人たちによって育成されてきた拳法で、今もなお成長しつづけています。今、いくつの技があるかということは、あまり意味がありません。

Q.五車星の拳も南斗聖拳なのですか?

A.五車星は南斗六星の慈母星(ユリア)を守護する役割の星です。ゆえに、南斗聖拳の一派ではありません。ジュウザがユリアへの恋を断念したのも慈母星の影である宿命を貫いたからです。

記事紹介 後半

 読切版『北斗の拳』の途中でまたセガマークIII用ソフトの広告、海の兵団を虐殺する黒王号上の拳王様ポスター、長州力が執るGOLDENブルーワーカーの広告が入る。このポスターの拳王様が頗る格好良くて、儂はこの本を慎重に分解してスキャナで取込み、携帯電話の待ち受けにした。拳王様お強い! お怖い! お恰好良い!
 「ケンシロウデータバンク」は同じものが『北斗の拳2000 究極解説書PART2』にも収録されているので資料価値こそ薄れたが、流石に『北斗の拳2000 究極解説書PART2』にはケンシロウの実物大手形など載っていない。B4サイズでないとこれは載せられない。
 「拳聖列伝」ではシン、ユダ、レイ、トキ、リュウガ、シュウ、サウザー、ジュウザ、フドウ、ラオウ様の見せ場、武御大による覚書と、身長、体重、バスト、ウェスト、ヒップ、首まわりの数値が紹介されているが、何故かシン、ユダ、レイ、トキ、リュウガ、シュウ、ラオウ様は各二頁づつで紹介されているのにサウザー、ジュウザ、フドウは各一頁づつである。どうしてだろう。
 「世紀末わき役名鑑」では一頁の上段で大きくリン、バット、ユリア、マミヤが、その下でやや小さくリュウケン、アイリ、シバ、海のリハクが、その下で更に小さく風のヒューイ、炎のシュレン、トウ、ライガとミツとフウガ、コウリュウが、最下段で小さくコウ、トヨおばあちゃん、タキ、ミスミじいさん、バーテン、黒王号が紹介されている。大きさがキャラクタの重要度に対応しているような気がするが、それにしちゃあ黒王号が小さすぎるような。風のヒューイだけ「風のヒュー」と記されているのは御愛嬌。
 定番の秘孔紹介記事「秘伝!北斗神拳奥義書」ではウイグル獄長を検体にして健明、頭顳、定神、頬内、北斗鋼筋分断脚、交首破顔拳、鏡明、解唖門天聴、新一、頭顳、頸中から下扶突、心霊台、新血愁、北斗断骨筋、刹活孔の位置が示されているが、何故か頭顳が二回紹介されており、どう考えても技名っぽい鋼筋分断脚と交首破顔拳も秘孔扱いになっている。断骨筋も秘孔ではないような気がする。解説する先代伝承者のハゲめ、ボケたか。
 「原哲夫グラフィティ」には原御大の高校時代、持ち込み時代、デビュー時代、連載時代の絵が掲載され、「ケンシロウ成長の記録」として時期によるケンシロウの容姿の変化を並べて見られるようにしてある。ケンシロウが一時期えらく足が長かったのは『キャプテン翼』の影響という情報の初出は本書のこの記事である。本稿の最後にはゲイラと対峙するケンシロウの行のネームも載っている。『北斗の拳』は最初武御大ではなく狩撫麻礼が原作を務めることになっていて、題も『バトルキッズ』に革められる予定であったが、原御大のネームを見て狩撫が「ネームが汚いから厭だ」と言出して断ったらしい。この話を知って、劇画村塾の先輩だろうに、なんて野郎だ、『ボーダー』より向うにいやがれ、と儂は狩撫が嫌いになった。でもお蔭で武御大にお鉢が回り、不朽の名作『北斗の拳』が生れたのだから、感謝せねばならぬのかも知れぬが。
 「8月の大攻勢!! 熱風爆裂 ジャンプ名物史上空前のBig企画大行進」と1986年36号37号の広告がある。確か『週刊少年ジャンプ』はこの頃に四百万部を突破している。講談社と小学館にとってはただの煽りではなく真の意味で「8月の大攻勢」だったかも知れない。
 そして最後のカラーイラスト集。此処にある拳王様も痺れる格好良さだ。
 「北斗の拳メイキングオブ超ワイドポスター」と題して原御大がカラーイラストを仕上げるまでの行程を写真付で紹介した記事があり、儂はこれを手本に絵を描くようになった。エアブラシが買えなかったので色を塗るのは今でも苦手だが、ペン入れまではこれで憶えた。
 最後の最後に表面が悪党の首を絞める力強いケンシロウ、裏面が大きなユダの嘲笑う顔を背景に死を暗示する仰け反ったレイとケンシロウのポスター。
 背表紙の裏に「硬派 援団ジャージ」なるヤンキー臭いジャージ、背表紙に高橋名人を中央にしたハドソンのキャンペーンPR広告があって時代を感じさせる。「この夏、必殺16連射のテクニックは、君のものだ!」と高橋名人が親指を立てている。高橋名人が毛利名人と戦うアニメ映画『GAME KING』なんてのがあって、この広告にもあるが、こんなもん、よく出来たなぁ。

aside

*1
 一般にライトノベルとは「アニメ調のイラスト・押し絵を用いる」ことを別にすれば、「台詞が多い小説」のことであるらしい。だがそうすると純文学もライトノベルのことになってしまうので、その定義は適切ではないだろう。大塚英志はそうしたがっているようだが。
 儂はどうも「擬音と台詞が多い小説」ではないかと思う。何故なら劇画調とはいえ原御大の表紙と挿絵を用いた集英社文庫版『一夢庵風流記』が可成りライトノベルに雰囲気が似ているのだ。比べてみると判るが隆慶一郎の小説には司馬遼太郎や池波正太郎、山岡荘八などにない際立った特徴がある。先づ台詞が多めで表現が現代的であること、そして擬音を「ひゅる、ひゅる、ひゅる」などと文字で書いてしまうことだ。これは恐らく隆慶一郎の前身が「にあんちゃん」で知られる脚本家池田一朗である為だろうが、これに原御大の絵が加わると、もう一歩でライトノベル、という感じになるのだ。隆慶一郎とライトノベルの文はともに映像化することを前提にしている、もしくは映像に影響を受けて書かれているので、文体が映像的である。それ故に劇画調とアニメ調、質は正反対であるが、具体的な図像を与えられると、この両者は極めて似てしまう。
 儂はライトノベルを読まないのでよく判らないが、隆慶一郎がライトノベルに影響を与えたというのは、多分このようなことではないかなぁ、と愚考するのだが、如何だろうか。明らかに間違いだと思われる方は掲示板にてその辺りを御教授下され。

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