北斗の軍最強の兵士…よね?

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アミバの才能は認めよう

 アミバの再評価を試みています。


アミバの才能は認めよう

トキこそアミバの偽物

 アミバは『北斗の拳』全キャラクタ中でも特異な人気を誇る迷キャラクタである。その人気は、儂はよく知らないが、特に月刊アニメ雑誌『ファンロード』誌上の「シュミの大事典」で猖獗を窮め、誌上で十年以上も"アミバ"の名が踊り続けたということである。web北斗界でも昔は『TAY the world』や『アミバ教 Presented by PPPK』などアミバを専門で扱うサイトが数多くあって、今でも『オラほのぺーず』や『経絡秘孔究明会』などアミバを讃えるサイトは少くない。その求心力は間違いなくトキやケンシロウ以上で、「トキこそアミバ様の偽者」という者までいる。"木人形"という言葉を我々の世代に教えてくれた文化的功労者でもありその影響力は計り知れない。

続き

アミバの人柄

 但しアミバは疑いようもなく悪人である。つまらない理由でトキの名を貶めんとその名を騙り、新秘孔究明の為に多くの木人形を死なせ、診療と偽ってユウを殺し、ユウの父親まで殺し、更にケンシロウとの闘いで形勢不利に陥るや、ユウの母親まで人質に取ってケンシロウの心を踏みにじる。アミバとケンシロウの間には何の縁もない筈である。よく憎くもない相手をあそこまで酷く扱えるものだ。どうしてあそこまでアミバは堕ちたのだろう。何があってあそこまで歪まねばならなかったのだろう。アミバはどうして欲しかったのだろう。
life199811080004.jpg 多分、アミバはただ人に誉めて貰いたかっただけだ。それが餘りにも誉められぬ為に「媚びろ」に歪んだのではなかろうか。アミバ教徒以外の者はよくアミバを侮り軽んじるが、いやいや、どんな拳法でも誰よりも早く習得出来たというから、アミバは稀有の才能の持主である。然も並大抵の才能ではない。如何に躊躇いがあったとて一度はケンシロウと渡り合い本物のトキと見間違わせた程の才である。トキに匹敵する才と考えて間違いない。もし正しく育ち然るべき奥義を授っておれば或いはラオウ様の頭上にすら死兆星を呼べたかも知れぬ。それ程の才を誰も誉めなかったから歪んだのではなかろうか。
 誉められなんだのは間違いなく奥義を授らなんだからだが、では何故アミバの師はアミバに奥義を授けなんだのだろうか。此程の才の持主、得難いではないか。
 アミバの技量に問題があったとは思えない。恐らく性格が伝統武術の伝人に向いていない為だ。何せ伝統武術の目的はただ強くなることではない。武術を後世に伝えねばならぬ。だがアミバは天才である。大して努力もなしに誰よりも早く何でも修得出来てしまう。こういう天才は伝統武術の伝人に向いていない。器用者は不器用者の苦労を知らぬからだ。
 よくゴルフなどはトッププロより下位のレッスンプロに習うた方が上達が早い、などというが、それはトッププロが天才故に何も教えられずに出来てしもうたことが多い為である。修得に苦労した憶えがない為に凡人が何故教えられたことをすぐに出来ぬのか、何が難しくて行き詰るのか、どうすれば教えたことを理解出来るのか、どうしたら理解したことを実践出来るのか、さっぱり理解出来ない。そんな天才がどうして弟子を育てられよう。如何に一代の名人、一代の絶手になろうと、これでは跡が絶えてしまうではないか。アミバに奥義を授けてもアミバの代で失伝してしまうではないか。だからアミバは奥義を授けられなんだ。
 アミバの口振りからすると南斗聖拳の基礎に於いてはレイやユダ、或いはシュウにも劣らぬ自負があったと思うし、事実アミバならレイやユダにも劣らなんだと思う。それ故アミバの屈辱は如何ばかりだったろうか。餘り賢くないように見えるレイのことはきっと蔑んでいただろうし、ユダのことも性格が近いので却って憎たらしかったかも知れない。そんなレイ如きが六聖拳の一水鳥拳を、ユダ如きが六聖拳の一紅鶴拳を継いでいる。なのにアミバは何も継げなかった。そりゃあ歪む筈だ。南斗聖拳を辞したのはその為だろう。life199811080004-2.jpg或いは師を殴って破門になったのかも知れぬ。
 勿論歪んだアミバの思考は極めて中学生的、思春期的である。己の問題を世間に責任転嫁させてしまう辺り、とても成熟した大人とは思えぬ。然し南斗聖拳の道場は多分七歳頃に入門して以後十八歳頃まで自由に出入り出来ぬ現代中国の武術学校の如き寮制であったような気がする。そんな環境でアミバのような天才が奥義も授らず看板もなしに育てば歪んで当然だ。だいたい南斗聖拳自体、どいつもこいつも滅茶苦茶で、シュウくらいしかまともな人はない。並外れた才能を持つアミバだからこそ正しく育つわけがない。
 奥義も授かれずして何が拳法か。だからアミバは南斗聖拳以外にも様々な拳法を習うたと思う。太極拳や形意拳はもとより泰山華山なども習うたやも知れぬ。然し泰山や華山でも多分奥義は授かれなんだと思う。泰山華山の師は喩えゲルガや牙大王やバスクに奥義を授けても南斗聖拳の師と同じ理由でアミバには授けなかったに違いない。そのアミバの落胆は如何ばかりだったろうか。

アミバの目

 然しアミバはいい処に目を付けた。北斗神拳である。北斗神拳は血統を重視する天才の拳法だ。ジャギとて豊かな才を持つ男だった。キムが破門されるような拳法だが、アミバ程の才があれば問題はない。残念ながら縁なくリュウケンの養子にはなれなんだが、いやいや、今まで誰にも奥義を授らなんだアミバだ。もう自分で作ろう、それでオリジナルを超えればいいじゃないか、別に北蛇鍼拳でもいいよ、と心を固めていたに違いない。基礎はジャギに学ぶか拳王様から偸むか或いは劉家拳等を学ぶかして身につけただろうが、あとは木人形を用いて研鑽研鑽の日々である。その結果、北斗神拳でさえ究明していない秘孔を幾つか発見している。そのうち幾つかは破孔だったかも知れないが、この辺りでアミバは確信しただろう。俺は北斗神拳を超えられると。
 そして正統伝承者を地べたに這い蹲らせるに至る。生涯最高の至福の瞬間であったに違いない。然し北斗神拳は甘くはなかった。秘孔封じなんて聞いていない。何故レイ如きがそんなことを知っているのか。更にアミバだと知れれば誰も従わないときた。お前ら同じ拳王軍だろう、職場放棄じゃないか、敵前逃亡じゃないか、最もらしく言訳してるんじゃないよ! だが幾ら怨み言をいうても詮無きことである。秘孔封じで形勢逆転、新秘孔で指が爆ぜ、アミバは死んだ。結局アミバの敵は奥義だった。秘孔も、秘孔封じも奥義だった。

わが生涯に一片の悔いなし拳=アミバの新秘孔説*1

 アミバが究明した幾つかの新秘孔は拳王様に伝えられ、儂は曾て「わが生涯に一片の悔いなし」の際に点いた秘孔こそそうであった、という説を唱えていたが、この説は『経絡秘孔究明会』で曹様が既に否定されており、儂も云われてみりゃその通りだと納得、既に棄てている。「うわらば」は「うわらば→うあばら→右肋」を意味し、右肋の秘孔の点き工合か気の流れかの微調整に失敗したことを悔む言葉だった、という説が昔『土足進入禁止』にあって、この「うわらば」がラオウ様に伝わって最期にきちんと使えたのであればなぁ、そしてアミバの功績があったからこそ全ての奥義を授らなかったラオウ様が正統伝承者ケンシロウと最期まで渡り合えたのだとラオウ様御自身が認めて下さる意味でこの新秘孔を使うていたらなぁ、という想う気持ちは未だあるが、曹様の仰有ることが尤もである。
 但し流石曹様は儂よりアミバを愛しているお方だ。ゲルツの死に方から新血愁こそアミバが究明した新秘孔であると仰有っている。そういう形でラオウ様がアミバの功績を認めて下さっていたならば、それはそれで嬉しいじゃないか。
 まぁ、テレビアニメ版を見ていると、ラオウ様御帰天以後もリハクの兵に混じって子どもに林檎を配ったり、北斗の軍の一員として修羅の国に渡ったりしているので、リハクには誉められたかもね。リハクの麾下じゃ得難い戦力だっただろうから。

aside

*1
2007/03/15.追記

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