三十一篇全比較 03.KING篇 004-010話(全07話)

 『北斗の拳』最初の山場であり『北斗の拳』を象徴する一篇と云えよう。婚約者ユリアを奪った因縁の巨敵シンとの再開、死闘、離別、これこそが『北斗の拳』だ。この七話に『北斗の拳』の全てが詰っていると云える。あのラオウ様とケンシロウの激闘も、先づケンシロウとシンの闘いがあって、ラオウ様とケンシロウなのだ。

続き

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 七話もある話を七頁でまとめようと云うのだから乱暴な話だが、案外これで説明出来てしまうものである。七話になっても物語の転換点は矢張り三つでしかない。

  • 序:KINGの正体に迫る情報の入手
  • 破:ユリアの存在を認知
  • 急:ケンシロウ絶対有利

 無理矢理七頁にまとめたが故に埋没した描写はあるが、埋没したダイヤの殺害、クラブの非道、ハートの肉体、伏兵、ユリアの死は別段物語の展開を左右する問題ではなかった。別にユリアが居たからケンシロウが覚醒して柔破斬でハートに勝てたわけではなく、シンに対するケンシロウの有利はユリアが殺されても揺るがなかった。要はKINGと対決する理由があり、ユリアにまつわる二人の因縁があれば、ケンシロウが執念と怒りでシンに勝つ、というお話なのだ。起承転結にそれぞれ設けられた山場はその経緯を愉しむ為の演出に過ぎない。
 故にこのお話は序破急の前後で綺麗に切れている。ダイヤ殺害までは巨大組織KINGを演出、ダイヤ殺害からクラブ脅迫までケンシロウとKINGの対立を演出、クラブ脅迫からハート登場までKINGの正体の演出、ハート登場からユリア確認まで北斗神拳と南斗聖拳の対比を演出、ユリア確認からシンとの因縁まで二人の対峙を演出、シンとの因縁からケンシロウ絶対有利まで執念によるケンシロウとシンの逆転を演出、ケンシロウ絶対有利からシン回想までケンシロウの甘さを断つ怒りを演出、シンの回想で死闘の後の虚無感を演出するという工合である。

  • 起:巨大組織KING→ダイヤ殺害→ケンシロウとKINGの対立
  • 承:KINGの正体→ハート登場→北斗神拳と南斗聖拳の対比
  • 転:両雄対峙→シンとの因縁→執念による逆転
  • 結:甘さを断つ怒り→シンの回想→死闘の後の虚無

 例えばダイヤとクラブは別人として描かれ、容姿も著しく違うてはいるが、實は性格設定はスペードと大して違わず、別人である意味は餘りない。ダイヤとクラブが別人として描かれるのは、単にKINGという組織を大きく見せる程度の意味しかなく、状況が許せば(或いは許さなければ)ダイヤに破顔拳を喰らわせずクラブのようにKINGの情報を吐かせることは出来た。そうしなかったのはそうしない方がKINGが巨大組織っぽく見えたからに過ぎない。
 シンに助太刀せんとした伏兵、シンによるユリアの殺害も、状況が許せば(或いは許さなければ)省いて問題なかった。何故ならどちらの出来事の以前も以後もケンシロウはシンを圧倒しており全く状況が変っていないからだ。シンの腕をねじりあげ、執念だ、とシンに拳を叩込んで、さあユリア、と触れたら人形でした、でも話は通用する。そうしなかったのは、きっとそれではいまいちつまらないからだ。矢張り伏兵とユリア殺害はあった方が面白い。但しその価値はケンシロウがシンと対峙し「ユリア…」と思うだけの描写と変らない。なければないで成立してしまう。

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