三十一篇全比較 06.牙一族篇 026-037話(全12話)

 『北斗の拳』のNo.2キャラ、ケンシロウの相棒と云えば誰であろう、そう質問されたなら、恐らく最も多くの人が名を挙げるであろうキャラクタ「レイ」と、読者にとって最も馴染み深く、セクシーな女性キャラクタ「マミヤ」が登場するエピソードである。全十二話、この十二話はレイとマミヤの為の十二話で、ケンシロウのことは殆ど描かれていない。

続き

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 大齣が多く並ぶ絵ばかりで如何にも面白そうな一篇だ。見事に見せ場、山場が序破急、起承転結の中央に集中している。完璧な構成と云えよう。

  • 序:レイの評価変更
  • 破:レイの無力化
  • 急:レイ対ケンシロウ

 先づ序で悪人として登場した筈のレイが何故か牙一族を裏切りマミヤに与し、ケンシロウと打解けて頼り甲斐ある仲間になった筈が破で無力化、急では脅迫に挫けてケンシロウを殺そうとする。この篇で作者がレイを描かんとしていたことは間違いない。

  • 起:マミヤの村→レイとマミヤ→レイが裏切る
  • 承:コウの復讐→牙大王登場→アイリを人質に
  • 転:獣人マダラ→マダラ殺害→マミヤも人質に
  • 結:同士討→ケンシロウの死?→牙大王殺害

 起では先づレイとマミヤを描いて状況を説明し、終えてレイがマミヤに接触、これが牙一族をレイが裏切る伏線になって、更にレイの以後の行動を規定、死の伏線にもなっている。この行の中央に位置する起は将にそのレイとマミヤの馴初めとも云うべき山場、男女の出会いとしては最低だが、顧えば此処からはじまった…というレイファンなら感慨深い一枚である。
 承ではコウが殺害され、気丈に振舞うマミヤであるが、両親の墓前で落涙し、ケンシロウどころかレイの心をも動かし、二人でケマダ兄貴の隊を潰す。処が牙大王が登場、ケマダ兄貴らの亡骸を見て落涙し、復讐を宣言、調査してレイに妹があることを知り、アイリを手に入れる。この行でマミヤの弟コウが殺され、牙大王の息子であるケマダ兄貴らが殺され、レイの妹アイリが人質に囚われ…と全ての関係が血縁で説明されていることに注意せねばならない。この行の中央に位置する承は牙大王が血縁を重んじる敵であることが明示される場面の一枚目、「おお……/息子たちよ」、この一言が全てだ。普通の敵なら核戦争後のこと、居るか居ないかも判らん身内を人質にするなんて考えないし、先にレイに妹が居ることが明かされているから妹が人質に取られる展開は唐突で安直、本来なら読むに堪えぬ話だが、牙一族が血縁を重んじ牙大王が落涙することで説得力が増す。
 転ではアイリが人質となり期待していたレイが役に立たないようになるも、ケンシロウは人質を取られてもお構いなし、昂奮して襲いかかったマダラを殺害、これで牙一族ではケンシロウには勝ち得ぬこと、ケンシロウにも人質が要ることが明示され、牙大王の脅迫とマミヤの作戦失敗によりマミヤがケンシロウの人質となり、条件が揃う。それでもケンシロウはお構いなし、ゴジバを殺害するが、怒り心頭の牙大王は二人に同士討を命じる。牙一族ではケンシロウもレイも殺し得ぬことが明らかなので、同士討を狙うのは当然の方策であろう。ゴジバ殺害もケンシロウが依然驚異でなければ成立しないからある描写だ。この行の中央に位置する転はケンシロウが人質に構わぬこと、牙一族では勝ち得ぬことを示す象徴的な一枚だ。この頁があるからケンシロウとレイが戦うことになる。
 結ではレイがケンシロウを襲い、ケンシロウは戦いを渋るが、マミヤの涙に動かされ、レイに聖極輪の意味を問うて拳を交える。双方の力量は切迫し、決め手がないまま奥義を尽し、相討って倒れ、牙一族の勝利に決したかに思われたが實は偽装、牙大王が人質を解放するや立上り形勢は逆転、ケンシロウが牙大王を殺害し、一件落着した。この段の見せ場はケンシロウとレイの比武、この行の中央に位置する結は将にその決着の瞬間、ケンシロウが死んだかに見えた一枚だ。多分結は「捨て頁」で、ジャンプ掲載時では次の頁が当該頁なのだろうが、どちらでも充分見せ場になっていて、「決った!!」の牙大王が嬉しそうだった。これで篇はお終い、物語を収拾して終る。

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