三十一篇全比較 20.金色のファルコ篇 145-159話(全15話)

 實はこの篇は「ハーン兄弟篇」と「ジャコウ総督篇」に分けられないでもなかったが、そうすると「新伝説創造篇」が三話、「賞金稼ぎアイン篇」が五話で、これに「ハーン兄弟篇」四話となると餘りに小分けになるので、ソリアの死が尻切れになることもあり、煩雑を避けて分けなかった。また第百六十話「永遠なる父の魂!!の巻」を含むべきであったかも知れないが、これもリンがジャスクに攫われる行があり、それがファルコとケンシロウに「死の海」を渡らせる為、次篇に含んだ。この辺りの分割には随分迷うたので、今こうして分析の準備を調える段階に至っても、まだ迷うている。

続き

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  • 序:ハズ、不発弾を叩く
  • 破:ケンシロウ、電流柵を破る
  • 急:リン、天帝ルイを発見

 本来であれば「天帝篇」と名付けるのが筋であったかも知れぬ。然しこの三枚を見ると、先づハズの不発弾事件でファルコがただの冷血漢でないことが明かされ、ケンシロウが電流柵を破るとファルコの兵がケンシロウに挑み掛ってファルコの求心力を示し、リンが天帝ルイを発見してファルコがケンシロウと戦う理由がなくなる、という筋で、どうしようもなくこの篇がファルコを描いている為「金色のファルコ篇」とした。要約すると、ファルコがジャコウから解放される過程を描いている。天帝だけではなくファルコもジャコウに幽閉されていたようなものだった。

  • 起:ハーン兄弟→マミヤの村→ファルコの包囲→南斗双鷹拳伝承者→紫光のソリア
  • 承:ファルコの片脚→ジャコウ総督→ジャコウの恐怖→好漢ショウキ→北斗の軍侵攻
  • 転:ジャコウ発狂→ファルコ出陣→両雄対峙→天帝が泣いている→帝都潜入
  • 結:ファルコとリン→地下での危機→両雄困憊→英雄アイン→ジャコウ殺害

 *1話の流れを見ると、堀江信彦御大と武論尊御大が如何に苦心されたかよく判る。何せラオウ様が御帰天召された後だ。大きな物語がひとつ完結している。また一から物語を紡がねばならぬ苦労は如何ばかりであったか。南斗双鷹拳や元斗皇拳といった要素にその苦労が見える。ラオウ様を超えられぬでも、ラオウ様に劣らぬキャラクタを作ろうとして、ラオウ様の周辺にある諸要素を再利用してしまっている。これは明らかに失策なのだが、それだけ堀江御大と武論尊御大が御苦労なさったということだ。
 然し原哲夫御大がこれを案外簡単な方法で解決してしまっている。その方法とは即ちファルコの顔だ。ドルフ・ラングレンに似せたことで、案外あっさりファルコのキャラクタの器量をラオウ様に近づけてしまったのだ。
 どういうことか? これは当時のことを知っている者でないと理解しにくいかも知れないが、この頃は『ROCKY 4』が公開されてから間もない時期だったのだ。シルベスタ・スタローン扮する「ロッキー」と死闘を繰り広げるロシア人ボクサー「ドラゴ」のドルフ・ラングレンだ。たったこれだけのことで原哲夫御大はファルコのキャラクタを立ててしまった。たったこれだけのことでファルコが強大な敵に見えてしまうのだ。然も御丁寧にケンシロウの容姿もシルベスタ・スタローンに近づけている。シルベスタ・スタローン似のケンシロウとドルフ・ラングレン似のファルコが闘えばロッキーvsドラゴ並の死闘になるに決っているではないか! 当時の読者はそう考えるに決っている! そして原御大は本当にそのように描いてしまった!
 冗談のようだが、これが効果覿面であった。本当に本篇の設定は無理矢理である。プロットだけを見れば出来が悪いと云わざるを得ない。だが! 当時のジャンプは面白かったのだ。このファルコの容貌だけのことで面白かったのだ!
 矢張り漫画は絵である。絵が大事だ。絵がなければ何も始まらない。

aside

*1
2011,02/26.加筆

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