三十一篇全比較 21.修羅の国入国篇 160-164話(全05話)

メモ*1

 本篇でファルコとはお別れだが、幾ら何でもあっけなさ過ぎる。確かにファルコは何れ死ぬキャラクタであったが、せめてカイオウの手に落ちたケンシロウを助ける為に死ぬとか、もう少し道はあったと思う。何せ曾ては北斗神拳をも凌いだと紹介された元斗皇拳最強の男だ。武御大はファルコをケンシロウに匹敵する拳士として設定した筈である。そして現に前篇で鬼神の如き強さを見せつけ、凄まじい死闘を演じていた。そんなファルコが名もなき修羅に敗れるとは、餘りにも無惨ではないか。勿論、戈穴の傷が力を削いでいたと説明されてはいるが、ファルコはそんなことで死ぬ男ではなかった筈だ。もっと佳い死場所はなかったのだろうか。思えばレイも拳王様の先触れに容易く殺されたが、それでも三日の餘命を与えられ、充分に戦うて死んだ。ファルコにとっては刹活孔がレイの三日に相当するのだろう。だからレイがマミヤの想いを残したように、ファルコもミュウに子を残したのだと思う。然しそれで斃した敵が砂蜘蛛一匹だなんて、不釣り合いではあるまいか。ユダと比べて、餘りにも砂蜘蛛は軽すぎないか。それともユダが砂蜘蛛並なのか。第百六十一話のファルコの臨終は確かに美しい。然しこんなところでファルコと別れねばならぬとは…愛する『北斗の拳』のこととはいえ許し難い。武御大にはレイやシュウのような死に方を考えて頂きたかった。残念でならない。

続き

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  • 序:修羅しか生まぬ国…
  • 破:赤鯱の慰霊室
  • 急:強襲砂蜘蛛

 本篇は如何に修羅の国が凄まじいか、恐ろしいかを念入りに強調し、読者を盛り上げることには成功した。然し此処で盛り上げすぎたが為に本篇に登場する砂蜘蛛や海岸の修羅ばかりが強く見え、逆にアルフ、ブロン、シエ…と次篇以降に登場する修羅が劣化して見える。修羅の国にまつわる「修羅の国入国篇」「シャチ野望篇」「第三の羅将ハン篇」「ジュウケイ無惨篇」「魔神ヒョウ篇」「女神の涙篇」「修羅の国決着篇」の「修羅の国七篇」は決して面白くないわけではないが、惜しいかな砂蜘蛛が全体の調和を乱してしもうたことは否めまい。何もファルコを死なせる必要はなく、またファルコを殺すなら砂蜘蛛をもっと巧く使うべきだったと思う。赤鯱を使う手もあっただろう。

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  • 起:リン拉致→訪れぬ平安→アイン葬送
  • 承:双胴の鯱→赤鯱制圧→死闘の予感
  • 転:万が一の期待→修羅の国上陸→ファルコ無惨
  • 結:対決砂蜘蛛→ファルコ復帰→ファルコ勝利

 図像解釈的に本篇は死を暗示する描写で満ちており、修羅の国に待受ける死の予感…というよりは寧ろ修羅の国そのものが冥界であるかのような印象を受ける。冥界に連れ去られた…或いは自ら降りた女神を救出するという筋立ての物語は、例えばシュメール神話の「イナンナの冥界下り」、日本神話の「イザナギの黄泉国巡り」、ギリシア神話の「オルペウスとエウリュディケ」など、洋の東西を問わず世界中にあって、これらを武御大が参考にした…とは思わぬが、この手の話は他に作りようがないらしく、うっかり手を出すとどうしても似たような話になってしまうようで、この「修羅の国七篇」も「冥界下り」の類話になってしもうたことは間違いないと思う。

aside

*1
2007,04/16.修正

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